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2022.08.29

歯科・口腔からはじめるアンチエイジング Vol .12

歯科・口腔からはじめるアンチエイジング Vol .12

 

 

 

 認知症の7割弱を占めるアルツハイマー型認知症の発症抑制には、歯周病の治療と予防メンテナンスが有効であることが研究結果で明らかになってきました。(2018年より国立循環器研究センターをはじめとする他施設共同研究「虫歯、歯周病と脳卒中、認知症との関連の検証」九州大学口腔機能分子科学分野OBT研究センター、などの研究)

 一般社団法人認知症協会の理事 山根一彦医学博士著の『認知症にならない最高の習慣』にも“認知症を引き寄せる3つの習慣”の冒頭に、「歯の手入れをしない」という項目があげられています。

 

 では、なぜ歯周病と認知症が関係するのでしょうか?

 

 

 

 

 歯周病は歯周病菌が引き起こす感染症といえます。

 

歯周病の原因菌として最も脅威であるのがPg菌。

 

 

 Pg菌は、ほかの歯周病菌と比べて細胞内に侵入する能力が非常に高く、毛細血管の壁を通り抜け、血流に乗りさまざまな臓器に炎症をもたらします。

血液と切り離せない鉄が好きな個体というだけあって、血流に乗り血液に親和性をもちながら悪い影響を全身に波及させるというありがたくない菌です。

 

 

 歯周病菌という私たちの健康の敵を知ることは歯周病との戦いに勝つ重要な要素でもあるので、エピソードとして頭の片隅においていただくといいかもしれません。

 前置きが長くなりましたが、このPg菌が実はアルツハイマー型の認知症の原因物質である老人斑アミロイドβを増加させているのです。

 

 

 

 

 

 

歯肉で炎症をおこして粘膜を破壊し、歯肉の炎症部位で免疫細胞の過剰反応により、アミロイドβを産生さ       せる

 

アミロイドβとともに血流に乗って、脳の血液脳関門に到達

 

アミロイドβを脳内に取り込む受容体を増やし、脳内にアミロイドβを誘導する

 

 

 このようにして、アルツハイマー型認知症のリスクに関与しているということが分かっています。

また、マウスの実験では中年マウスにPg菌を三週間連続投与した結果、脳のアミロイドβが10倍に増えたとの報告もあります。(Zeng et al.Journal of Neuro-chemistry 2020)

 

 

 

 

 歯周病の温床は外側からは見えない歯周ポケットの中にあります。

ここには歯周ポケットの深部にPg菌の活動するエリアであるデンタルプラークや歯石が存在しています。これはセルフケアである毎日の歯磨きでは対処できない領域ですので歯科医院に受診して歯周病検査を行い、歯科医師の診断と歯科衛生士のプロフェッショナルケアを行うことは必要不可欠です。

 年齢を重ねても残存する歯の数が多い方が認治療の発症が少ないという研究結果もありますが、たとえ歯の数は多くても歯周病に羅患していれば認知症のリスクは逆に高まります。

 

 2年を超えて続くコロナ禍の中、マスクの常用による口腔内の環境の悪化リスク、コロナ感染を過度に恐れるあまりに外出控えの一環として歯科医院への受診控えなどで、歯周病が知らずしらずに進行してしまうことも、私の医院でも多く見受けられます。別の理由で来院された患者さんが、進行した歯周病を指摘されてショックを受けられることもあります。

 ですが、健康復活のきっかけの一つとして、健やかに年齢を重ね、脳の老化も緩やかにする健康管理のためにも、積極的に歯科医院での歯周病治療や予防を受けられることをお勧めしたいと思います。

 

 

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